鶴岡の食文化を紡ぐ人々
No.005 〜とちの実〜
行沢とちの実会 難波恵美さん 上野郁さん 上野久美子さん
鶴岡では、いろんなところでとちもちが売られています。とちの風味は独特で、こしがあってとってもおいしいのです。
このとちもちに使われる「とちの実」、古くから集落でとちを大切に守られてきた行沢(なめざわ)地区でお話を伺いました。
このとちもちに使われる「とちの実」、古くから集落でとちを大切に守られてきた行沢(なめざわ)地区でお話を伺いました。
8月に「行沢とちの実会」を訪れた時のこと、難波さんをはじめ控えめなお3人から、350年以上も昔から集落のみんなで守ってこられたとちにまつわるお話にすっかり魅了されました。
行沢地区では集落で共同の山があり、昔から灌漑を目的にとちの木が植えられ、秋には集落の希望者全員で実の収穫のために山に入るという風習を聞き、ぜひとも山に同行させてほしいとお願いをしたのでした。
行沢地区では集落で共同の山があり、昔から灌漑を目的にとちの木が植えられ、秋には集落の希望者全員で実の収穫のために山に入るという風習を聞き、ぜひとも山に同行させてほしいとお願いをしたのでした。
その願いがかなったのは、9月26日。
集落の方々以外、勝手に立ち入ることは許されない共同の山へ、許可を得て集落の方々と一緒に行ってきました。
そこは、所々にとちの木があり、杉の木があり、ブナがあり、多くは広葉樹の森で、下草が刈られた道があり、手入れの行き届いた気持ちのいい里山でした。
毎年7月に1日集落の人全員が参加しての山の下草刈り、さらに1日とちの木にからみついたツタ(フジなど)を切り、とちの木を守られています。
集落の方々以外、勝手に立ち入ることは許されない共同の山へ、許可を得て集落の方々と一緒に行ってきました。
そこは、所々にとちの木があり、杉の木があり、ブナがあり、多くは広葉樹の森で、下草が刈られた道があり、手入れの行き届いた気持ちのいい里山でした。
毎年7月に1日集落の人全員が参加しての山の下草刈り、さらに1日とちの木にからみついたツタ(フジなど)を切り、とちの木を守られています。
この日、ご一緒したのは行沢とちの実会の3人を含む集落4人の方。
昔は、集落の14-5人で山に入っていたそうですが、年々とちの実をほしいという人は減っていき、今では山に入る人は5-6人。
人数が少なくなってさみしくなったとご年配の方はおっしゃってました。
ハチやマムシなど山の恐ろしさもちゃんとご存知の方々は、肌を極力出さず、完全防備。
しかもとちの実拾いをスムースに行うために機能的ないでたちです。
昔は、集落の14-5人で山に入っていたそうですが、年々とちの実をほしいという人は減っていき、今では山に入る人は5-6人。
人数が少なくなってさみしくなったとご年配の方はおっしゃってました。
ハチやマムシなど山の恐ろしさもちゃんとご存知の方々は、肌を極力出さず、完全防備。
しかもとちの実拾いをスムースに行うために機能的ないでたちです。
集落の人のうち3人が身に着けていたばんどり。
どれもお母さんやお姑さんから受け継いだ物だそうです。
おそらくビニール紐で編まれていて、女性の身に着けるものらしくカラフル。
重いとちの実を背負う時、緩衝材の役割を果たします。
どれもお母さんやお姑さんから受け継いだ物だそうです。
おそらくビニール紐で編まれていて、女性の身に着けるものらしくカラフル。
重いとちの実を背負う時、緩衝材の役割を果たします。
ばんどりの上にバッグがあるのが分かりますか?
このおかげで重いとちの実も運びやすくなるそうです。
急斜面で、笹や低木をつかまないと体を支えることすらできないスタッフを尻目に、臆することなく進まれていきます。
帰りは、15キロくらいのとちの実を背負ってこの急斜面を登らなくてはいけません。
とちの実の収穫と簡単に言っても、想像以上に危険と隣り合わせの作業でした。
急斜面を落ちて、骨折したとかハチに刺されたとかマムシがふってきたとか、クマの足跡を見たとか、何も知らず不用意に歩くスタッフに、注意しろと諭してくださいます。
茂みに入ってとちの実を収穫するため、危険がないかしっかり目で確認しながら行くしかありません。
朝の9時くらいから山に入り、17時ごろまで休みを挟みながら収穫を続けます。
このおかげで重いとちの実も運びやすくなるそうです。
急斜面で、笹や低木をつかまないと体を支えることすらできないスタッフを尻目に、臆することなく進まれていきます。
帰りは、15キロくらいのとちの実を背負ってこの急斜面を登らなくてはいけません。
とちの実の収穫と簡単に言っても、想像以上に危険と隣り合わせの作業でした。
急斜面を落ちて、骨折したとかハチに刺されたとかマムシがふってきたとか、クマの足跡を見たとか、何も知らず不用意に歩くスタッフに、注意しろと諭してくださいます。
茂みに入ってとちの実を収穫するため、危険がないかしっかり目で確認しながら行くしかありません。
朝の9時くらいから山に入り、17時ごろまで休みを挟みながら収穫を続けます。
危険と隣り合わせでかなりの重労働の収穫作業なのですが、
「(とちの実の)おっきなのが落ちてたり、いっぱい落ちてるとうれしい。」
「おめぇもか?私もだー。」
と笑顔で口をそろえておっしゃってました。
「(とちの実の)おっきなのが落ちてたり、いっぱい落ちてるとうれしい。」
「おめぇもか?私もだー。」
と笑顔で口をそろえておっしゃってました。
上の写真のように固い殻に覆われているとちの実の殻を手早くはずし、つぎつぎと袋に入れていきます。
今年は豊作。あっという間に袋はいっぱいになり、重さ7-15キロの袋が出来上がります。
収穫作業していると、時折、上からどすん、どすんととちの実が落ちてきて、静かな里山に秋の訪れを知らせます。
今年は豊作。あっという間に袋はいっぱいになり、重さ7-15キロの袋が出来上がります。
収穫作業していると、時折、上からどすん、どすんととちの実が落ちてきて、静かな里山に秋の訪れを知らせます。
大きく育ったとちの木。
樹齢350年以上のものもあるそうです。
印象的だったのは、収穫に来られた4人の方々が何をするにも声をかけあっていらっしゃったこと。
収穫場所や次はどこに採りに行くか、ここにはたくさんとちの実が落ちているとか、この場所のとちの実は大きいとか。
厳しい自然とともに生きてこられた集落の方々の助け合う知恵が今も息づいています。
*****
ゆっくりお話も伺いたくて、後日、行沢とちもち加工所にお邪魔しました。
樹齢350年以上のものもあるそうです。
印象的だったのは、収穫に来られた4人の方々が何をするにも声をかけあっていらっしゃったこと。
収穫場所や次はどこに採りに行くか、ここにはたくさんとちの実が落ちているとか、この場所のとちの実は大きいとか。
厳しい自然とともに生きてこられた集落の方々の助け合う知恵が今も息づいています。
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ゆっくりお話も伺いたくて、後日、行沢とちもち加工所にお邪魔しました。
会のみなさんが口をそろえておっしゃるとちの実の加工の大変さをちょっとだけ教えていただきました。
ざっと日数を合計すると、半月以上もかかる、とても根気のいる作業です。
また、簡単に教えていただいたので、書いていない作業もたくさんあるようです。
朝の6時から10時までほぼ毎日加工所で作業をされています。
さらに、とちの実のあくぬきは、3人の各家庭で行われます。
ざっと日数を合計すると、半月以上もかかる、とても根気のいる作業です。
また、簡単に教えていただいたので、書いていない作業もたくさんあるようです。
朝の6時から10時までほぼ毎日加工所で作業をされています。
さらに、とちの実のあくぬきは、3人の各家庭で行われます。
加工所の側には、とちの木が生えていました。
この木は、植えられて20年後にようやく実をつけたとのこと。
実は、難波さんをはじめ、今の行沢とちの実会のメンバーが活動をはじめたのは、昨年からとのこと。
先代の方々がご高齢のため、引き継いでほしいとの願いがあり、また先代が築きあげた行沢とちもちの味を守りたくて、跡を受け継いだそうです。
この木は、植えられて20年後にようやく実をつけたとのこと。
実は、難波さんをはじめ、今の行沢とちの実会のメンバーが活動をはじめたのは、昨年からとのこと。
先代の方々がご高齢のため、引き継いでほしいとの願いがあり、また先代が築きあげた行沢とちもちの味を守りたくて、跡を受け継いだそうです。
今は、受け継いだとちもちの味を守るのに必死だそうですが、いつか行沢とちもち加工所の新たな商品開発も行ってみたいと夢を語ってくださったお三人は、当初の控えめな印象とは異なり、静かな情熱を秘めた魅力的な方々でした。
とちの実
鶴岡でもとちの実を間近で見たことがある方は少ないかもしれません。
とちの実には、強烈なあくが含まれ、あく抜きには繊細で多くの行程を要します。
行沢地区のお盆とお正月には、欠かせないとちもちです。
おすすめの食べ方
とちもちには、こしあん、と決まっているそう。
加工所で手作りされるこしあんは、とちもち独特の風味と調和して絶品です。
加工所で手作りされるこしあんは、とちもち独特の風味と調和して絶品です。