鶴岡の食文化を紡ぐ人々
No.002 〜えご〜
磯見漁師 榊原昭夫さん 榊原徳子さん
鶴岡のスーパーや産地直売所などで時々見かける「えご」
一見こんにゃくのようでもありますが、「えご」の正体を探りに鶴岡市由良地区を訪れました。
一見こんにゃくのようでもありますが、「えご」の正体を探りに鶴岡市由良地区を訪れました。
6月19日、この日の夜、まさに台風がくるという小雨まじりの天気のなか、榊原さんのお宅にお邪魔しました。
20日からモズク獲りのため忙しいということで、その前に取材のお時間をとってくださいました。(鶴岡のモズクは天然もので、味は格別なんですよ)
磯見漁師 榊原昭夫さんと奥様の徳子さん。
昭夫さんは磯見漁歴50年にもなるそうです。
磯見漁師 榊原昭夫さんと奥様の徳子さん。
昭夫さんは磯見漁歴50年にもなるそうです。
磯見漁とは、舟に乗って箱メガネ(底にガラスの付いた道具)から海の底をのぞき、漁具を使って魚介類を獲る漁法です。
(写真下は、エゴグサを獲る漁具。棒状のところに長い棒をつけてエゴグサを巻きとる)
季節に応じて、サザエ、アワビ、モズク、岩ガキなどを獲られています。
その年によって獲れるものと獲れないものが違うけれど、1年間を通してなんとか帳尻があうそうで
「海の恵みはすばらしいものであって、そこそこまま(ご飯)食うだけ、なんとかかんとか食わせてもらっている」
と海への感謝を口にされていました。
(写真下は、エゴグサを獲る漁具。棒状のところに長い棒をつけてエゴグサを巻きとる)
季節に応じて、サザエ、アワビ、モズク、岩ガキなどを獲られています。
その年によって獲れるものと獲れないものが違うけれど、1年間を通してなんとか帳尻があうそうで
「海の恵みはすばらしいものであって、そこそこまま(ご飯)食うだけ、なんとかかんとか食わせてもらっている」
と海への感謝を口にされていました。
昭夫さんが「えご」の原料となるエゴグサ(エゴノリ)を採取され、徳子さんが「えご」を作られます。
エゴグサは、一般的な海藻のように岩や石につくわけでなく、昭夫さん曰く「ヤドカリのように」岩場に生えている海藻の上につきます。
そのため、波が高いと流されやすく、台風が来る前ということもあり、「獲るまではわかんねぇ」と心配されていました。
エゴグサは、一般的な海藻のように岩や石につくわけでなく、昭夫さん曰く「ヤドカリのように」岩場に生えている海藻の上につきます。
そのため、波が高いと流されやすく、台風が来る前ということもあり、「獲るまではわかんねぇ」と心配されていました。
エゴグサの収穫時期は8月、お盆を過ぎたあたり。
真夏の暑いなか、エゴグサに絡みついた海藻を取り除きながら、天日干しする作業はなかなか大変な作業だそうです。
収穫時の色は真っ黒ですが、海水にさらした後、天日干しという作業を四度繰り返すときれいな飴色に変化します。
真夏の暑いなか、エゴグサに絡みついた海藻を取り除きながら、天日干しする作業はなかなか大変な作業だそうです。
収穫時の色は真っ黒ですが、海水にさらした後、天日干しという作業を四度繰り返すときれいな飴色に変化します。
次に、「えご」を作る前に、乾燥したエゴグサを湿らせ、エゴグサに絡みついた黒い海藻を取り除いていきます。
徳子さんは、夜、老眼鏡をかけながらこの細かい作業を根気よく行われています。
1回の作業に4時間くらいかかるそうです。
細かい海藻を取り除くことで、仕上がりが美しいえごになるんです。
徳子さんは、夜、老眼鏡をかけながらこの細かい作業を根気よく行われています。
1回の作業に4時間くらいかかるそうです。
細かい海藻を取り除くことで、仕上がりが美しいえごになるんです。
その後、エゴグサと水を鍋に入れ、弱火にかけながら、煮溶かします。25-30分間巨大なへらでひたすら練るそうです。
火からおろしてさらに7-8分練ります。
漁師作業が少ない時期に徳子さんが作ります。
(サービス精神旺盛な榊原ご夫妻はデモンストレーションをしてくださいました。)
この作業はとても重労働で、真冬に昭夫さんがストーブの側から離れられない時も、徳子さんは暑くて同じ部屋にいらないほどらしいです。
火からおろしてさらに7-8分練ります。
漁師作業が少ない時期に徳子さんが作ります。
(サービス精神旺盛な榊原ご夫妻はデモンストレーションをしてくださいました。)
この作業はとても重労働で、真冬に昭夫さんがストーブの側から離れられない時も、徳子さんは暑くて同じ部屋にいらないほどらしいです。
えご、やはり手作りのものは一味違うようです。由良地区で5軒作られている方がいらっしゃいます。
お家によって少しずつ味が違うようなので、ぜひお試しを。
榊原ご夫妻のおすすめの食べ方は、酢味噌をかけていただくこと。
けれど、最近では、きな粉やわさび醤油、ドレッシングで食べる方もいらっしゃるそうですよ。
平成元年以降、由良の海は磯焼け※となり、エゴグサも少なくなりました。
ここ2-3年でようやく多くなってきたそうです。
※磯焼けとは、繁茂していた海藻類が消滅し、持続する現象。
山形県内の磯焼けの原因ははっきりしていないのですが、ウニなどの植食性動物による食害、海中の栄養塩不足などが考えられるそうです。(山形県水産試験場の高澤さんのお話より)
鶴岡の海で起こった磯焼けの原因は解明されていないようですが、豊かな海がこれからもあり続けることを願わずにはいられません。
そして、海の美味しい恵みをこれからもずっと食べつづけれるよう、自分たちにできる身近なことから初めていきたいものです。
まずは海に行って親しむことからはじめてみるのはいかがでしょうか?
最後に、漁師の昭夫さんと漁師のおかあさんの徳子さんのそっと寄り添うような仲睦まじさがとても印象的でした。
結局のところ、このお二人もおいしい「えご」の秘訣なのかも。
お家によって少しずつ味が違うようなので、ぜひお試しを。
榊原ご夫妻のおすすめの食べ方は、酢味噌をかけていただくこと。
けれど、最近では、きな粉やわさび醤油、ドレッシングで食べる方もいらっしゃるそうですよ。
平成元年以降、由良の海は磯焼け※となり、エゴグサも少なくなりました。
ここ2-3年でようやく多くなってきたそうです。
※磯焼けとは、繁茂していた海藻類が消滅し、持続する現象。
山形県内の磯焼けの原因ははっきりしていないのですが、ウニなどの植食性動物による食害、海中の栄養塩不足などが考えられるそうです。(山形県水産試験場の高澤さんのお話より)
鶴岡の海で起こった磯焼けの原因は解明されていないようですが、豊かな海がこれからもあり続けることを願わずにはいられません。
そして、海の美味しい恵みをこれからもずっと食べつづけれるよう、自分たちにできる身近なことから初めていきたいものです。
まずは海に行って親しむことからはじめてみるのはいかがでしょうか?
最後に、漁師の昭夫さんと漁師のおかあさんの徳子さんのそっと寄り添うような仲睦まじさがとても印象的でした。
結局のところ、このお二人もおいしい「えご」の秘訣なのかも。
えご
えご(語尾は下げて発音します)
海藻からできているとは思えないくらいもっちりとした歯ごたえ。
地元では好みははっきりと分かれるようですが、ほんのりとした磯の香りともちもちとした触感がたまりません。
昔は、春の彼岸のころに庄内あさつきと一緒に酢味噌で食べていたようです。
最近では、ほぼ年中、地元スーパーでも販売されているので、探してみてくださいね。
ただ、暑い夏(7月8月)は、えごが固まりにくいため、お休みだそうです。
海藻からできているとは思えないくらいもっちりとした歯ごたえ。
地元では好みははっきりと分かれるようですが、ほんのりとした磯の香りともちもちとした触感がたまりません。
昔は、春の彼岸のころに庄内あさつきと一緒に酢味噌で食べていたようです。
最近では、ほぼ年中、地元スーパーでも販売されているので、探してみてくださいね。
ただ、暑い夏(7月8月)は、えごが固まりにくいため、お休みだそうです。
収穫時期 |
エゴグサ: 8月末
えご: 9月から6月 (7月、8月はお休み) |
買えるところ | 海鮮市場 日本海
(庄内観光物産館内)
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おすすめの食べ方
一番ポピュラーなのは酢味噌(左)。榊原ご夫妻のおすすめです。
そのほかに柚子こしょうと醤油(真ん中)、きなこ(右)もおいしかったですよ♪
そのほかに柚子こしょうと醤油(真ん中)、きなこ(右)もおいしかったですよ♪