鶴岡
食のミュージアム

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食文化を紡ぐ人々 No.044 鶴岡市中京田 きくらげ農家 鈴木屋本店 鈴木俊将さん

 
 

鶴岡地域できくらげを生産している農家がほぼいなかった4年前。地元になく、消費者が求めている品目をリサーチし、鈴木さんはきくらげの生産を始めました。続けていくことで、認知度も上がってきた鶴岡産きくらげ。今回のインタビューは、きくらげ農家の鈴木さんにお話を伺いました。

きくらげのハウスをバックにした鈴木さん

「就農4年目、きくらげも4年目。」

「きくらげが生えているところ、見たことありますか?せっかくなので案内しますよ。」と、気さくに話しかけてくださった鈴木さんは、就農4年目の26歳。作業場から歩いてすぐのところにあるきくらげのハウスに案内していただきながら、きくらげの生産をはじめたきっかけなどをお伺いしました。
ご実家では水田と畑で親父さんが現在も中心となり農業を営んでいます。東京で学生時代を過ごしていた鈴木さんは、鶴岡に戻って就農をするにあたり自分で経営することを考えました。地元になかった食材・あると喜んでもらえるもので、ヒアリングとリサーチを重ね、戻ってきて1か月ぐらいで始動しはじめました。当時は、稲の育苗のあとに空いているビニールハウスでできるものということで、栽培はきのこに絞って考えていたそうです。

家族ぐるみの作業です

きくらげのハウスは湿気が重要。スプリンクラーでスコールのように雨が降り注いでいました。明るいハウスの中にきれいに並べられたきくらげの菌床。1年目は500個からはじめ、2年目に1500個、3年目に3000個と数を増やし、現在は4000個。お客さんの需要や認知度と共に生産数を増やしていると言います。


生きくらげと干しきくらげの二つを商品で出している鈴木さん。干しきくらげは、専用のハウスで天日乾燥させます。こまめに上下をひっくり返したり、作業量は多くなりますが、一つ一つの様子を確認しながら大切に扱っているのが伝わってきました。

普段の仕事は主に鈴木さん一人でやっていますが、パートは2名ほど、忙しいときは近所の方たちに助っ人を頼み6・7人体制で作業しています。ずっと前から手伝いをしてくれる近所の方たちは、子どもの頃からの鈴木さんを良く知っている、なんでもわかる頼もしい存在です。取材の日も、近所の方がおしゃべりをしながら丁寧にいしづきをとっているところでした。

なじみの方に手伝いに来てもらっている

顔の見える販売をして認知してもらう

はじめたころは、地域でまだなじみのなかったきくらげ。品目として大変だったのは販路だったと言います。櫛引で開催しているこしゃってマルシェ等のイベントや産直施設などで販売しながら、徐々に認知度を上げるとともに栽培も増やしていった、と振り返ります。

産直施設では販売コーナーの前に立って直接お客様の前に立ちPRをすることも多いそうで、最近は関東方面のイベント出店もあり土日は忙しいのですが、行けるときには率先してお客さんの前に出るようにしているのだそうです。最近では庄内地域できくらげをはじめた農家も徐々にですが10件弱にまで増えてきています。いいものを必要な時に届けられるように、日々楽しみながらやっていけたら、と鈴木さんはいいます。

丁寧に広げ天日乾燥させる

「学生時代は法律を勉強してたんです。家も農家で、ちっちぇころから稲とか豆とか育てているのを見てたし、こういう環境で育ってきたからなんだかんだで農家になろうと思っていたんです」と鈴木さん。後継ぎに関して、親から強く言われるようなことはなかったと言います。大学時代は専攻の勉強以外に、大学1年目から食のイベントや学生と農家をつなぐ学生団体を立ち上げ、東京に住んでいた頃はそちらへ精力的に力を使っていたそうです。
「高校を卒業して首都圏で暮らしていると、地元で感じている自然や農業、食と人のリアリティがなかった。目の前にある食材は、農家が一生懸命育てて、仕入れて、料理されているという流れが全然見えない。たくさん人が暮らしているのに、みんながおんなじことしてる。オレん中ではそれがアホくさく感じて(笑)、もっと自分の周りからでも農家や農業に触れて知ることが必要だと思った。」

これからぐんぐん大きくなるきくらげ

発起人の一人として学生団体eat_happyを創設し、当時運営は4,5名、参加者は20~30名。学生をターゲットに、首都圏からアクセスのいい千葉や山梨の農家を訪れ、ファームステイや農業体験ができる企画をしたり、カフェで料理を食べながら農家の顔が見えるイベントを開催したりしていました。「7,8年前のいろんな人が農業や自然に興味を持ち始めたころのはしりだったかも知れません。」現在もその団体は後輩が受け継いで、北から南まで、関わる地域や人を増やしながら活動しているそうです。

ここで暮らすということ

中京田の公民館。ここで集落のイベントが行われる

「うちの中京田地区は、80haの耕地面積です。ほかの場所と同じように、ここでも高齢化は進んでいて、農家の後継ぎの自分にも集落の人から『おらほの土地もなんとかしてくれちゃー』と言われることがあります。田んぼだけじゃなく、集落の維持についてもこれから直面する問題の一つだと思うんです。行事やイベントもあったり、周りの人に仕事があれば座っておしゃべりしながらできる作業を楽しんでやってもらえて少しでも収入になるような、そういういい関係を維持していきたいと思っています。だから、これからは人の関わりと言う目線でも、きくらげを一つの事業として、次の作物を考えていけたら。」

村の中を案内してくれた

約30世帯が暮らす中京田。30代以下の若い世代も20名弱はいるのだそうです。もうすぐ結婚する予定だという鈴木さん。集落と言う小さい範囲の仕事の作り方と、首都圏などへ向けて発信する広い視点を両方持ちながら、鶴岡らしさや鈴木さんらしさを大切にしながら人や農作物と関わっていく将来も楽しみです。

(文・写真:稲田瑛乃)

国産きくらげ

肉厚で大きく、食べごたえがあるのが特徴。さっとゆでてからし醤油やお刺身のようにしたり、サラダで食べるのもおススメ。
鍋物や炒め物にも使え、栄養価が高いことも人気のひみつ。
国内に出回るきくらげのほとんどが中国産。

鈴木屋本店

鶴岡市中京田乙75
080-1804-2146

Facebookページ 鈴木屋本店

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